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細菌にも電気がある?

あります。神経や筋肉だけでなく、細菌を含むすべての生きた細胞は、細胞膜をはさんで電気的な差をつくっています。 この「生体電気」が、細菌の生き方やコミュニケーションにどう関わるのかを紹介します。

細菌にも電気がある?

「電気」と聞くと、脳や神経、心臓を思い浮かべるかもしれません。 しかし、電気的な現象は神経細胞だけのものではありません。 細菌のような小さな細胞にも、細胞膜の内側と外側のあいだに電気的な差があります。

この差は膜電位と呼ばれます。 細胞膜をイオンがどのように出入りするかによって生まれ、 細菌がエネルギーを使い、栄養を取り込み、環境に応答するための基盤の一つになっています。

生き物の中で起こるこうした電気的な現象を広く生体電気(bioelectricity)と呼びます。 私たちAsally Labは、その中でも細菌の電気的な状態がどのように変化し、 それが細菌の行動や集団のふるまいにどう関わるかを研究しています。

細菌はなぜ電気的な状態を持つの?

膜電位は、単なる「電圧」ではありません。 細菌にとっては、エネルギーを利用したり、物質を運んだり、運動したりするための重要な状態です。

しかも、その値はいつも一定とは限りません。 環境が変わったとき、細胞が成長するとき、ストレスを受けたときなどに、 電気的な状態も変化します。

細菌は電気でコミュニケーションするの?

細菌は一匹ずつ孤立して生きているわけではありません。 化学物質を放出したり、周囲の環境を変えたりすることで、 近くの細胞のふるまいに影響を与えます。

その方法の一つとして、イオンの移動を使った電気的なコミュニケーションがあります。 たとえば枯草菌のバイオフィルムでは、カリウムイオンの移動が 集団内のシグナル伝達に関わることが示されています。

もちろん、これは「細菌に脳がある」という意味ではありません。 神経細胞と同じように電気的な原理を使う部分がある、ということです。 生命がどのように情報をやり取りするのかを考える上で、 細菌はとてもシンプルで興味深いモデルになります。

目に見えない電気を、どうやって調べるの?

細菌は非常に小さいため、神経細胞のように電極を直接刺して測ることは簡単ではありません。 そこで私たちは、細胞の電気的な状態によって明るさが変わる蛍光色素や、 光・化学物質・電気刺激などを組み合わせて調べます。

大切なのは、ただ「電圧を測る」ことではありません。 刺激を与えたときにどのように変化するか、 その変化が増殖やコミュニケーション、薬剤への応答とどう結びつくかを見ることです。

なぜ細菌の電気を研究するの?

一つの理由は、生命の基本原理を理解するためです。 神経を持たない単純な細胞にも生体電気があるなら、 電気的な状態は生命にとってかなり基本的な仕組みだと考えられます。

もう一つは応用です。 細菌の電気的な状態を測ったり制御したりできれば、 細胞の状態を素早く見分けたり、抗菌薬への応答を評価したり、 新しいEngineering Biologyの技術につながる可能性があります。

私たちは、細菌を「ただ観察する対象」としてではなく、 生命の物理を理解し、測り、そして将来的には制御するためのモデルとして研究しています。

まだ分かっていないこと

細菌の電気的な状態は、どのくらい情報を持っているのでしょうか。 どのイオンが、どの場面で重要なのでしょうか。 電気的な変化は細胞の行動を決める原因なのか、それとも結果なのか。

こうした問いに答えるには、測定するだけでなく、 電気的な状態を意図的に変え、その結果を確かめる必要があります。 それが私たちの研究の中心です。

もう少し詳しく知りたい方へ